私「とてもよかったですね! Yちゃん演奏も素敵でしたよ!だから私としては伴奏者賞も欲しかったんですけど…」

     

お母様「ううん、先生、Yはね、自分が賞をとるより、クラスが優勝したほうが嬉しいって言ってた。だから今日はとっても嬉しいって」

     

これは、とある年のとある中学校のとある合唱コンクール結果発表のあとで、学年優勝したクラスの伴奏をつとめたYさんのお母様と交わした会話です。
私ははっとしました。
そうか、Yちゃんはそう思っていたんだ! 
そしてこの時私はとても大切なことを教えていただいたのです。

     

ピアノ教室をひらいて数年後くらいから例年、誰かがどこかの中学校の合唱コンクールの伴奏をつとめて下さるようになりました。だいたい、夏休み前に伴奏者として決まって、楽譜をもらって、10月中旬~下旬の合唱コンクールにむけて練習を始めます。
大変なんですこれが。
まず、曲が難しい!! シャープやフラットがいっぱい! 速い! 細かい! 複雑! 
そして曲が長い!! なんなの10ページあるんですけど!!(曲によります)
そして夏休みといっても部活だし! 三年生は総体だし!受験だし! 一、二年生だって体育祭だし新人戦だし!
けっこうな負担です。
しかも、クラスで一人か二人だけがそういう負担を背負わなければならない………わりに?、周りのひとは学校の先生も含めて、なーんだか弾けて当然みたいなカンジだし(T_T)。
私がたびたび話してきたことは、それでも、そしてクラスの状態が良くても悪くても、とにかく伴奏者はあのステージの上で弾かなければならないんだよ、ということでした。

ううーん、いまいちネガティブな言葉でしたねぇm(__)m。もしかしたら自分の経験から来た言葉だったかもしれません(^_^;)。

     

でもそれだけじゃないんだ! みんなと一緒に音楽を造れる、自分の特技でクラスに貢献できる!こんなに素晴らしいことはないじゃないか!

     

うまく言葉にできないのですが、そういうことを最初に書いたYさんのお母様との会話で気付かせていただきました。
Yさんは素直にふつうに、クラスが優勝したほうが嬉しいと思っただけかもしれない。けど、
みずみずしい感性でもって、自分自身でその気持ちを育てていたということでもあるでしょう。誰に強いられたわけでもなく。ほんとに素敵なことだと思いました。

     

今年も今のところお二人、合唱コンクールの曲に取り組んでいる方がいらっしゃいます。
お一人は発表会とかけもち、もうお一人は受験生です。

やっぱり、ピアノの先生としては、まずは良い演奏ができること、音楽として完成させていくことを目標にします。
そして同時に、伴奏者とは、ほかの人には味わえない喜びと経験を得られる、しかもクラスに貢献できる素晴らしいものだということをお伝えしていければと思っています。

     

ときには苦しいときもある。でもきっと、頑張った先には達成感がある。喜びがある。仲間と音楽を創り上げる楽しさが感じられたら最高だよね。

     

誇りを持って行こう。