玄関先に萩の花を置きました。

萩の花には思い出があります。
昭和の昔、私は高校生。
東京で寮生活を送っていました。音大付属高校に入ったからです。両手に抱えきれないほどのコンプレックスを抱えていましたっけ( ;∀;)。
そんなある日の高校の図書室。私は国語のH先生と話していました。
どんな流れだったか忘れましたが、たぶん自分の劣等感について話したのだと思います。自分は田舎者で引け目を感じるとか言ったのかもしれません。
その時の先生の言葉を萩の花を見るたびに思い出すのです。

     
     

ちょうどそのころ授業で萩の花をモチーフにした短歌か俳句を勉強していたのですが
「ねえ川名さん、じっさいに野に咲いてる萩の花をみたことがある人のほうがあの俳句(?)を詠んだ作者の気持ちに近づけると思わない?都会育ちの子にはそんな経験は持てないよ。野に咲いている萩を見たことがあるって素晴らしいことなんだよ」

     

先生は続けて、
自分も田舎から出てきて大学に入った。だから気持ちはわかる。でも、田舎に育ったことにはそういう価値だってあるんだよ。この場合は文学をより深く理解する経験を持ってるということだよ。

     

そんなことをおっしゃいました。

     

(で、その俳句だか短歌だかもここで紹介したいと思ってですね、先日からネット検索してるんですけどみつからないんですよね。ううう。)

     

なんだか私の文章だと感動も驚きもないんですが(*_*;、高校生の私の胸には深く響いて、それ以来少なくとも田舎者であるということで必要以上にじぶんを卑下することはなくなったように思います。

     

今このブログを書きながら考えることは、高校生の時期にこういう言葉をもらえた自分はとても幸運だったな、ということです。
今でいう自分を肯定する言葉をいただいたのだと思うし、また、こんなふうにものごとをとらえる視点があるのだ、ということを教えていただいたのだと思います。
こういう言葉は大人になるとなかなか言ってもらえないものです。

     

萩の花をみると、H先生のやさしさと教養の深さをなつかしく思い出します。